【東工大生×Webサービス開発者】のブログ

Webサービスを個人開発しました。大学生活と良質しながら、開発や運営のなかで、記事にしたいものを発信します。

時間効率を上げるために、大学生が【イシューから始めよ】読んでみた⑥

本記事は前回の続きとなります。

 

polymerchemistry.hatenablog.com

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前回までの内容で、

・イシューを定める事

・イシューに基づき、ストーリーラインと絵コンテを組むこと

・上記に基づいた、実際の分析を行い、アウトプットを生み出すこと

を示した。

 

そこで今回は、それらのアウトプットを最終的にどう伝えるか、というメッセージドリブンな考えについて説明をしていきたい。

この、メッセージドリブンという内容は、ビジネスであればプレゼンテーション、研究であれば論文に当たる部分であり、知的生産の最終的な部分だ。

 

当然、良い完成物なしには、これまでの努力が水の泡となってしまうので、本省も重要な部分である。

 

メッセージドリブンの前提事項

まず、知的生産の最終的な目的はなんだろうか?

それは、こちらの意図を理解し、同じように問題意識を感じてもらうことだ。

 

例えば、ビジネスにおけるプレゼンであれば、こちらの課題を相手にも感じてもらい、その解決手法について納得してもらうことである。

もう一つ、研究の例で言えば、論文の有用性と信頼性を理解してもらうことにある。

 

では、その様な状態を達成するためにはどのようなプロセスが必要なのであろうか。

著者らは、3つの条件が必要であると述べている。

・課題に意味があることを理解してもらうこと

・最終的なメッセージを理解してもらうこと

・行動に値するものであると感じてもらうこと 

上記の3条件を満たすことで、プレゼンテーションや論文発表を'成功'させることが出来ると考えている。

 

 ここまでの話では、全て話をする側の話であった。

では、話の聞き手側は、どの様な人たちなのであろうか?

ここを抑えることは、メッセージを作るマインドセットとして非常に有用であると感じた。

 

著者らは、話の聞き手を無知で賢いものであると想定する、と述べている。

具体的には、以下の二点を前提においている。

1.聞き手は無知であると仮定する

2.聞き手は高度な知性を持ち合わせていることを仮定する

 

要は、前提知識や論理的思考力の様な高い知性は持ち合わせているが、発表するメッセージの内容については、無知であることを仮定しろということだ。

つまり、理解してもらうことは、メッセージ次第では可能であるということだ。

 

以上の点を踏まえ、次節より詳しい内容に入る。

 

メッセージを見直す

本節より、ストーリーラインとチャートのブラッシュアップをする。

これらを見直す際に、常に意識すべき点は以下の2つだ。

・本質的であること

・シンプルであること

 

この2つを念頭に、メッセージのブラッシュアップを行っていく。

 

ストーリーラインを見直す

まずは、イシューに沿ったメッセージが伝わっているかを念頭に置きながら、次の手順で、ストーリーラインを見直していく。

1.論理構造を確認する

2.流れを磨く

3.エレベーターテストに備える

 

Step1: 論理構造を確認する

ここまでの分析と、それにより変化したストーリーラインを確認し、どの様な論理構造を取っているか確認する。

 

具体的には、

・論理構造が帰納的なのか演繹的なのか

・空雨傘方式のものであるのか

・論理的に見たときに、上層のメッセージをサポートしているか

といったことである。

 

これらの確認の際に、論理的な面で不備がある場合は(本当は分析の中でストーリーラインを組むことでこれらは起こらないはずだが)早急な修正が必要である。

また、論拠として弱い部分、蛇足に思われる部分は、思い切って除いてしまうことも考えなければならない。

 

最後に、これらの論理構造を包括して示す際には、オリジナルの名前を付けることを推奨する。

これは、既存のフレームワークを用いると、聞き手のバイアスに縛られてしまうこと、さらには、オリジナルの要素によって、冒頭で聞き手の心をつかめること、が理由として挙げられる。

 

 

Step2: 流れを磨く

論理的に不備がないプレゼンテーションであっても、相手に伝わるかというと、それは必要条件の一つでしかない。もちろん、十分条件があるわけではないとは思うが

 

良いメッセージは全体の説明に心理的なつまりがなく、なめらかに脳に入っていき、退屈することなく終わるものであると思う。

少し抽象的な表現をすることが難しかったので、具体的な例を示す。

 

例えば、特定の金属触媒を用いることで窒素からアンモニアを生産することが出来るものを例にとり、その論理構造を以下とする。

1.我々は優れた金属触媒を開発した

2.この金属触媒によって、ピリジニウムイオンを生成できる

3.その生成されたイオンは、さらに金属触媒上で二量体化し、気体になる

4.ピリジニウムイオンは、窒素から触媒量のピロールと反応することで生成する

5.気体になったピリジニウムイオンは、アンモニアに変わる

 

 どうだろうか?

確かにこれらは並べ替えることで、ある程度筋の通っている論理構造とすることが出来るが、番号順に聞くと、頭が行ったり来たりとなり、理解が出来ない。

 

これらを改善し、流れの滑らかなメッセージにブラッシュアップするのが、本節の内容である。

この方法として、著者らは2つの方法を述べている。

 

ひとつ目の方法は、粗い紙芝居を用いるものだ。

ある程度雑であって構わないので、用いるチャートやメッセージを並べ替えて、それらをパラパラとめくってみる。

すると、論理的に詰まる部分が出てくるので、その都度並べ替えたりすることで修正するというものだ。

 

2つめの方法は、無知で賢い人に対してリハーサルをすることだ。

これによって、知識がある状態の自分では気づけなかった論理的なつまりが見つかるであろう。

 

これらの方法を通じて、なめらかで整った情報が可能となる。

 

Step3: エレベーターテストをする

エレベーターテストとは、会議室に向かうエレベーターでCEOと鉢合わせた際に、到着する20秒間の間にPJの概要を説明することが出来るか、というテストである。

これにより、伝えたいメインメッセージを、より明確にすることが出来る。

 

ただし、この作業は既に済んでいるといっても過言ではない。

なぜなら、既にストーリーラインの最上部に立っている内容を話せばよいからだ。

 

 

 

チャートを磨きこむ

メッセージラインを磨きこんだら、次はチャートを磨きこむ。

チャートとは、Chartと書き、和約は図、グラフといったものである。

 

こちらのチャートも3つのStepで磨きこんでいくが、その前にチャートの内容を3分割していきたい。

 

チャートの3要素は、以下の3つだ。

・メッセージ:チャートが示したい内容

・タイトル:図の全体像を示す名前

・サポート:メッセージを裏付けるデータ

 

意味の分からないチャートを書かないためにも、これらの3要素を磨きこむ必要がある。

尚、良いチャートの3条件として、著者らは次の3つを挙げている。

・イシューに沿ったメッセージがある

・サポートの軸に意味がある

・サポートがメッセージを支えている

 

これらの条件を満たすために、次から3Stepsに分けて説明していく。

 

Step1: チャートに対してOne Messageを徹底する

チャートのメッセージは一つに絞らなければならない。

ひとつのチャートの中に、言いたいことが2つある場合は、似たような図にならないように注意しながら、別のチャートを作成することを推奨する。

 

また、それに付随することであるが、メッセージ性のないチャートは避けなければならない。

例えば、地方ごとのコロナウイルスの感染者数、といったメッセージでは、何が言いたいのか不明である。それであれば、地方でのコロナウイルス感染者数は、東京に比べて少ない、といったメッセージに変更するべきである。

結局何が言いたいのか、、、、という状況に陥れば、聞き手は発表者を無能と評価して、自分の有限である時間を使いたいとは微塵も思わないだろう。

 

教授が自分の発表中に他の資料を見だしても、他責になってはいけないのだ。

話を聞いてもらえないのは、教授の人間性が悪いからではなく、自分の発表が退屈であるからなのだ。

 

追記になるが、この例を書いているときに、授業を聞くことを強制して予備校の内職の封じこめにかかる高校教員を思い出した。高校卒業から3年近くたった今も、彼らは他責思考であったなと思うし、やはり責任を取れるのは自分だけだなと思う。

 

 

Step2: タテヨコの軸比較を明確にする

メッセージがサブイシューと合致していても、サポート部分の軸選定が間違っていれば、そのチャートは意味を持たない。

具体的には、メッセージをサポートする明確で意味のある比較が必要であるということだ。

 

本来その様なエラーは、絵コンテ作りのタイミングで取り除かれるはずであるが、実際の分析を進めてみて絵コンテは変わるものである。

 

その様な場合の対処方法を示したい。

具体的な軸を見直す方法として、著者らはいくつかを上げている。

・フェアで恣意のない軸選択

良い例が見つからなかったのであるが、要は聞き手が【プレゼンターは自分をだまそうとしているのではないか】という疑念を持つことを避けるということである。

 

・軸の順序に意味を持たせる

例えば、都道府県のあいうえお順にコロナウイルスの感染者数を並べているのであれば、ボコボコのグラフになるだろう。

それであれば、人口密度順当に変更して、一定の相関がみられる(一目でわかる)チャートに作り直すべきだ

 

・軸をMECEにする

例えば、新旧の生産オペレーションの変化を示したいのであれば、共通の部分は新旧で2つ書くのではなく、1つのチャートに統合してしまうべきである。

 

・軸を見直す

これらの手法を用いても、それぞれのセグメントで、明確な比較が出来ない場合がある。そのようなときは、軸の切り方が原因である場合が多い。

例えば、洋服1着にかけるお金を年齢別に比較しても、平均値では大きな違いは出ないだろう。なぜなら、40代でも1着30万のスーツを着たがる人はいるし、20代でもしまむらの服で済ませる人もいるためである。

この場合、年齢というのは服にお金をかける理由にはならない。

むしろ、交際人数や職業、年収等でセグメンテーションしたほうが、明確な違いが出るだろう。

 

以上で、軸のブラッシュアップは終了となる。

 

 

Step3: メッセージと分析表現をそろえる

最後のステップとして、サポート部分を最適化する。

例えば、新型コロナウイルスの新規感染者数がピークアウトしているというメッセージをサポートする分析として、差分表現はよろしくなく、割合での表現に変更するべきだ。

具体的には、新規感染者数が150人というよりも、昨日からの感染者比は102%である。

と表現したほうが、『150人?!めちゃ増えてるやん!!!』というミスリードを避けることが出来る。

これはFACTFULLNESSのSize Instinctで説明されていたが、人間は単一の数字に惑わされやすい。メディアが死者数を致死率ではなく絶対数で報道するのは、その方が注目が集まるからだ。(僕自身は、現状のコロナ対策に文句があってこの例を取り上げているわけではありませんが)

 

 

この考え方をマスターするには

最後に、これまでの考え方をマスターする方法についてだが、実践し週間化するしかない。

ボレーシュートのけり方を隅から隅まで言語で学んでも、体は自然に動かないのと同様に、思考のクセ、さらには自分の思考のルーティンとして組み込むために、この考え方を実践する以外に道はない、と思う。

 

 

以上、6部にわたる記事を読んでいただき、ありがとうございました。

 

過去記事はこちらとなります。

 

 

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